海外に多くの工場があるメーカー向け

国内に留まらず、海外にも生産拠点や販売拠点を持つなどグローバル展開している企業の場合は、グローバル展開を支援できるMESシステムの導入を検討する必要があります。ここでは、海外に多くの工場があるメーカー向けのMESシステム3製品（※）を紹介しますので、参考にしてみてください。

※選定について
❶2023年6月10日時点でGoogleにて「MESシステム」「製造実行システム」で検索した際、上位100位までに製品、またはベンダーの公式サイトが表示され、どんなシステムかがわかる情報が記載されている29製品の中から、❷公式サイトの記述において、「グローバル対応」「海外拠点対応」に関する機能・サービス・サポートを備えた製品をピックアップ。❸より多くの項目を備えた上位3製品を選出しています。（2023年6月25日調査時点）

SAP製造実行システム（富士通）

富士通が提供するMESシステム「SAP製造実行システム」は、グローバル品質規約や多言語に対応、迅速かつ柔軟なテンプレート設計を可能とするなど、グローバル企業向けのMESシステムです。すでに海外展開を始めている場合や、これから海外進出を検討する場合でも、簡単にシステムをグローバル化できます。

SAP製造実行システムの強み・選ぶ3つのメリット

グローバル展開がしやすい

SAP製造実行システム（MES）は、グローバル展開も容易です。パラメータ設定による迅速かつ柔軟なテンプレート設計を可能とするほか、多言語対応、グローバル品質規約にも対応しているため、システムのグローバル化を簡単に行うことができます。海外進出の際も安心です。

製造現場の多様なニーズ・課題を解決する豊富な機能群

SAP製造実行システム（MES）の特徴の一つは、搭載機能の豊富さです。製造指図のシリアル化や仕掛けのトラッキングの実現、ライン内抜取検査、不適合情報、修理履歴など不適合品管理、個々のプロセスにおける製造データの収集、リアルタイムでの変更管理など、豊富な機能群が製造現場のさまざまなニーズと課題を解決します。

経営情報（ERP）と製造現場（ME）の統合による情報一元化

SAP製造実行システム（MES）は製造現場を管理するだけに留まらず、上位システム・ERP（経営情報）との連携が可能です。これにより、販売管理から製造実行までの生産プロセスを一気通貫に可視化・分析できるようになり、生産性向上だけでなく、スピーディな経営判断が下せるメリットを享受できます。

データの一元管理と横断的な分析により、データの集約と異なるデータのフォーマット変換、ものづくりの可視化、さらに進んでは現場の円滑な意思疎通も可能です。

主な機能

• 作業指示
• 実績登録
• ものづくり情報の分析・可視化
• ERPとの連携
• パラメータ設定による、迅速かつ柔軟なテンプレート設計
• 多言語対応
• グローバル品質規約への対応

SAP製造実行システムの導入事例

国内外の各レギュレーション対応を強化

長年にわたって透析装置の製造を手がけてきた日機装株式会社。同社では、近年とみに厳しさを増す国内外の各レギュレーションへの対応を課題としていました。そこで、同社は富士通の製造実行システム「SAPME/MII」を導入することで、作業の標準化、現場の見える化、品質向上、業務効率化など諸課題を解決し、ペーパーレス化とトレーサビリティを通じて、国内外の各レギュレーション対応を強化しました。

参照元：富士通公式サイト（https://www.fujitsu.com/jp/services/application-services/enterprise-applications/industry/references/nikkiso/）

SAP製造実行システムのベンダー情報

ベンダー名	富士通株式会社
本社所在地	東京都港区東新橋1-5-2 汐留シティセンター
事業内容	デバイスソリューション事業、データベース事業、Webソリューション事業。個人向け通信機器や家電、その他電子機器、法人に向けたコンピュータープラットフォームやネットワーク機器の提供のほか、製造、モビリティ・交通、小売、パブリック、ヘルスケア・製薬、金融、資源・エネルギー、通信・メディア・エンターテイメントなど。
問合せ先	https://contactline.jp.fujitsu.com/contactform/csque29201/72995/（フォーム）

YOKOGAWA-MESソリューション（横河電機/横河ソリューションサービス）

YOKOGAWA-MESソリューションは、単なる製造工程管理に留まらず、グローバルサービス体制を構築しています。世界中に展開するサービス拠点、サービスエンジニアを通じて、海外展開のクライアントに対してもそれぞれの言語でサポートを行います。サービス拠点で対応できない場合でも、現地の地域レスポンスセンターによる対応が可能です。

YOKOGAWA-MESソリューションの強み・選ぶ3つのメリット

リアルタイムに発生するデータを可視化・共有化

YOKOGAWA-MESソリューションは、単なる情報管理システムではありません。製造現場（製造装置）から時々刻々と発生するリアルタイムの製造データをキャッチして把握することができます。これにより、製造の状況が即座に可視化できるようになり、製造品に問題が生じた際の対応や改善をスピーディに行うことが可能です。リアルタイムに発生するデータを可視化＆共有化することで、企業経営への貢献が可能です。

製造業にとって重要なQCDの高度化を強力支援

製造業にとって、Q（Quality=品質）・C（Cost=コスト）・D（Delivery=納期）は欠かすことのできない3要素です。QCDの如何によって、今後の利益や取引に影響を及ぼすこともあります。この点、YOKOGAWA-MESソリューションの導入によって、現場情報の集計と管理の一元化を実現すれば、製造プロセスの標準化や改善活動などQCDの高度化を推進することが可能です。データのムラがなくなり、ノウハウも標準化できるため、属人化も解消できます。

クライアントの状況や目的に合ったシステムを構築

MESに限らず、システムは自社の状況に適したものを導入したり構築したりすることが大切です。YOKOGAWA-MESソリューションでは、MESを中核ソリューションとして、各業種や適用分野別（連続プロセス系・バッチ系・組立て系など）に機能構成開発を行うため、自社の製造環境にマッチしたMESシステムを構築できます。

主な機能

• 指図/実績管理
• 作業進捗管理
• 製造記録管理
• ロットトレース実施
• 現場在庫管理

YOKOGAWA-MESソリューションの導入事例

製造工程の標準化により安定品質のフォトレジストを製造

半導体製造、フォトレジストのメーカーとして躍動を続ける東京応化工業株式会社。同社では、市場ニーズに応えより高品質なフォトレジストを製造するため、台湾の苗栗縣銅鑼に先端の製造設備と製造実行システム（MES）を備えた新工場を設立しました。結果、作業工程の標準化を実現し、新工場の操業開始直後から、安定品質のフォトレジストを製造し顧客から信頼を勝ち得ています。

　

参照元：横河電機公式サイト（https://www.yokogawa.co.jp/library/resources/references/tok_taiwan/）

製造管理のシステム化によるコスト削減を企図

大正5年（1916年）の創業以来、一貫して芋焼酎の製造を続けている霧島酒造株式会社。同社では、全社的なコストダウン施策の推進を企図し、製造管理をシステム化すべくMESを導入しました。これにより、製造現場の状況を適切に把握する或いは可視化できる環境が整い、業務効率化によるコスト削減も可能となりました。現在は、製造管理システムとライン管理システムの全ラインへの展開を進めているとのこと。

　

参照元：横河電機公式サイト（https://www.yokogawa.co.jp/library/resources/references/case_kirishima/）

YOKOGAWA-MESソリューションのベンダー情報

ベンダー名	横河電機株式会社
本社所在地	東京都武蔵野市中町2-9-32
事業内容	エネルギー＆サステナビリティ事業／マテリアル事業／ライフ事業／測定器事業／産業用IoT（IIoT）のハードウエア、ソフトウエア、クラウド環境を提供するソリューションビジネス、他
問合せ先	0422-52-5545

DELMIA Apriso（ダッソーシステムズ）

DELMIA Aprisoは、国内から海外拠点の含めたグローバルサプライチェーン全体を一元的に管理できる製造＆物流統合管理システムです。個々の企業の枠を越えて、世界をまたぐ製品供給ネットワーク全体を適切にサポートします。

DELMIA Aprisoの強み・選ぶ3つのメリット

製造現場の幅広いフェーズに対応できる

DELMIA APRISOは、次世代型グローバルMESパッケージである一方、各機能はモジュールベースで提供されており、製造管理から、倉庫管理、品質管理、保守管理、従業員管理まで、製造現場の幅広いフェーズに対応する機能を搭載しています。これら多機能を有機的に活用することで、国や国境を越えたグローバルな製造管理が可能です。

グローバルサプライチェーンを効果的にマネージメント

DELMIA APRISOがマネージメントするのは、国内ではなく、グローバルサプライチェーンです。国内の一つの工場に留まらず、各製造拠点、取引先、サプライヤーなど国内外の生産ネットワークにシステムを適用し、サプライチェーン全体を一元化、標準化、可視化して、国内外の製造現場の枠を越えたグローバルな製造管理を提供します。

設備メンテナンスもグローバル管理

製造現場では、設備のメンテナンスをいかに効率よく行えるかが製造品質を左右します。この点、DELMIA APRISOのシステムパッケージの一角を占めるDELMIA Apriso Maintenanceは、他のDELMIA Apriso アプリケーションと連携することで、設備メンテナンスを効果的に管理します。これにより、工場設備の空転ロスを最小化し、逆にアップタイムを最大化できます。

主な機能

• 製造管理
• 倉庫管理
• 品質管理
• 保守管理
• 従業員管理

DELMIA Aprisoの導入事例

クライアントニーズに合ったプラントソリューションを提供

世界的に有名な自動車塗装プラントのプロバイダー「Geico 大気社」は、自動車塗装プラントの建設に際して、塗装作業の効率性や安全性、オペレーション全体を可視化、同期化できる強力な生産実行システムを必要としていました。そこで同社はMESにうってつけなDELMIA Aprisoを採用、導入することで、クライアントニーズに合ったプラントソリューションの提供に成功しました。同社のソリューションは、最高品質の仕上がりを保証し、スムースな生産とコスト削減も実現しています。

　

参照元：ダッソー・システムズ公式サイト（https://www.3ds.com/ja/insights/customer-stories/geico-taikisha）

スピーディな立ち上げ、業務改善サイクル、スループットの向上も

サプライチェーンや公共サービスなど多岐にわたる分野で製造機器やソフトウェア、各種ソリューションの提供などを手がけるパナソニック コネクト株式会社。同社の製造現場では、工程毎に改善は進んでいたものの、クライアントニーズの激しい変化に対応すべく、従来からの属人的な業務から脱却してシステム化・合理化を図らなければならない状況にありました。その中核的な施策として、同社はDELMIA Aprisoを導入。スピーディな立ち上げを実現したほか、業務改善サイクルのスピードアップ、情報の一元化、問題認識と改善アクションのスピード向上、スループットの向上も実現。

　

参照元：ダッソー・システムズ公式サイト（https://www.3ds.com/ja/insights/customer-stories/panasonic-connect）

DELMIA Aprisoのベンダー情報

ベンダー名	ダッソー・システムズ株式会社
本社所在地	東京都品川区大崎2丁目1番1（日本法人）
事業内容	3DEXPERIENCEプラットフォーム、業界向けのインダストリー・ソリューション・エクスペリエンス、「CATIA」「SIMULIA」「DELMIA」「ENOVIA」「BIOVIA」「3DEXCITE」「3DVIA」「EXALEAD」「GEOVIA」等の各種ブランド・アプリケーションを含むダッソー・システムズ製品群の日本およびアジア市場における販売およびマーケティング、サポートおよび受託開発業務、ならびにその他関連業務
問合せ先	https://www.3ds.com/ja/how-to-buy/contact-sales/（フォーム）

まとめ　海外に多くの工場があるメーカーに向いているMESシステムとは

3製品に共通しているのは、多言語対応やグローバルサプライチェーンマネジメントなど、海外展開に不可欠な機能を標準で備えていることです。海外に多くの工場を抱える企業がMESを導入する場合は、こうしたグローバル化に対応したシステムを選ぶのが良いでしょう。