MESを導入するメリット・デメリット

MESを導入した際のメリットや効果

製造現場にMESシステムを導入することには、下記のようなメリットや効果があります。

製造現場におけるムダを削減する

MESは、製造現場のさまざまな状況やデータを可視化して、工程を自動化できるシステムです。これら情報の可視化して自動化することにより、製造現場のムダを早期に発見して改善に取り組むことで、工場内のさまざまなムダを削減して効率化できます。結果、製造リードタイムの短縮や製造コストの削減ができるのもメリットです。

トラブルに対して迅速に対処できる

MESを導入すると、製造現場の状況をリアルタイムに把握することができるため、何らかのトラブルや問題が発生しても、早期に発見して迅速に解決に取り組むことができます。もちろん、各工程間の連携も可能であるため、どこか一ヵ所でトラブルが生じても、工場全体で課題を共有し、かつ効率的に対策を実行できるのもシステム導入の強みです。

状況に応じて適切な作業手配ができる

MESの導入により製造現場を可視化して、リアルタイムな状況を把握することで、「誰にどのように仕事を割り当てるか」「作業手段をどのように設定するか」「どのように作業指示を出すか」など、臨機応変な作業手配が可能となります。また、適切な作業手配を行うことで、業務効率化と生産性向上が実現可能となります。

製造ラインの歩留まりを改善・向上できる

MES導入によるムダの削減や適切な作業手配の実現といった上記メリットの派生効果として、製造ラインの歩留まりを改善したり向上したりすることができます。歩留まりとは、生産物における出来高の割合です。歩留まりが低いほど、不良品や欠陥品が多いことを示し、利益が減ってしまいます。反対に歩留まりが向上するほど、不良品や欠陥品が少なくなり、利益が出やすくなります。

合理的な品質管理とトレーサビリティ

上述の通り、MESシステムでは製造現場の各工程を可視化することができます。その中では、製品の品質管理情報に対してもリアルタイムで収集・把握ができるため、生産性向上だけでなく、製品品質をリアルタイムの情報に基づいて迅速に分析することで、適切な品質管理を実施したり、製品の履歴や流通ルートを追跡する「トレーサビリティ」を確保したりすることもできます。

デメリットや注意点はあるのか

MESの導入には以下のようなデメリットや注意点もあります。以下のポイントを踏まえ、MES導入のメリットを最大にするような対策が必要です。

導入コストやランニングコストがかかる

MESを導入するためには費用がかかります。初期費用はもちろんのこと、導入後もシステムを維持するためのランニングコストが必要です。企業としては、投入した費用以上のメリットが得られなければ、導入する意味がなくなってしまうため、事前にシステム導入前後のコストや費用対効果について考慮しておく必要があります。

「目的」が曖昧だと導入に失敗しやすい

MESを導入する際の注意点には、「目的」の不明確さというのもあります。そもそも何のためにMESを導入するのか？導入して何を達成するのか？といった目的が曖昧なままだと、高い導入効果を得ることができません。導入自体が目的化してしまい、導入後の活用がうまくいかず定着もできないからです。

MESを導入するのは、工場を合理化したい、ムダを省きたい、といった目的を達成することにありますから、その目的をシステム導入前に明確にしておくことが大切です。

MES導入成功のカギは用意周到な計画性

上記のようなリスクを回避して、MES導入を成功させるためには、計画性を持つことが大事です。製品を選ぶ前に、MES導入の目的を明確にして社内で共有し、その目的に基づいて予算計画を立てたり、導入すべきシステムの優先順位を決定したりする必要があります。このように入念な準備と計画を立てることで、システム導入を成功に導くことができます。