MESシステム(製造実行システム)導入ガイド » いまさら聞けない MESシステム導入の基礎知識

いまさら聞けない MESシステム導入の基礎知識

MESとは、製造工程を適切に管理するためのシステムです。導入に際しては、MESの立ち位置や導入のメリット・デメリット、コスト、導入方法、システムの選び方など、さまざまな要素を考慮する必要があります。ここでは、MESのシステム導入の基礎知識を紹介しますので参考にしてください。

他のシステムとの関係と連携

MESは、製造工程を管理するためのシステムです。生産管理システムの一部でもあり、上位層の「計画層」(ERP)と下位層の「制御層」(SCADA等)の中間に位置して両者をつなぐ役割も果たしています。MESと混同されやすい「MOM」は、MESにQMSや生産計画、原価管理機能などを加えたMESの進化版です。

MESを導入するメリット・デメリット

MESを導入すれば、製造現場のムダを削減したり、トラブルを迅速に対処したりできるようになります。また状況に応じた適切な作業手配や、製造ラインの歩留まり改善・向上も可能です。一方、コストの問題や「目的」が曖昧な場合には導入に失敗するリスクもあるため、用意周到な計画が必要になります。

一般的な導入の流れ

MESの一般的な導入の流れは、「目標設定」にはじまり、次いで導入・運用のための事前準備と体制づくり、MESの選定とシステム構築、導入、システム活用(運用)、定着に至ります。導入方法には「パッケージ」と「フルスクラッチ」があり、それぞれ特徴が異なるため、よく検討して自社に合った方法で導入することが重要です。

導入コスト

MESシステムの導入には、初期費用、ライセンス費用(運用費用)、ランニングコスト、オプション費用、サブスクリプションなどが必要になります。パッケージやフルスクラッチなど導入方法によって価格が変動するため、慎重に検討しなければなりません。実際の価格例を紹介しますので参考にしてみてください。

3つの導入方法

MESの導入方法は、「パッケージ」「ハーフスクラッチ」「フルスクラッチ」の3つに大別できます。それぞれに特徴やメリット・デメリットがあり、優劣を決めることはできません。むしろ、それぞれの特徴を見極めながら、かつ自社の状況を考慮して、最適と思える導入方法を採用するのが良いでしょう。

MESシステムの選び方

MESシステムの選び方では、さまざまな要素を考慮しなければなりません。導入目的の明確化や、優先順位の決定など「導入側に関するポイント」、既存設備からのデータ取得やコストなど「MESシステムに関するポイント」、開発経験や納期の長さなど「ベンダーに関するポイント」をチェックすることも大切です。

製造現場の要望に合った
システムを紹介
ニーズ別 MESシステム 3

製造現場を管理するうえでの課題、要望により合うMESシステムを紹介します。
本サイトで紹介しているMESシステム29製品(※)から、自社に合った導入ができるよう、パッケージ、カスタマイズ、スクラッチ、どの方法にも対応している「3製品」を抽出。それぞれの課題や要望に合致する機能や支援内容を実現できるシステムを公式サイトやパンフレットの記載内容をもとに紹介しています。

※上記6つの選び方のポイントにすべて合致しているか否かによる選定ではありません。ご了承ください。

柔軟性

既存の新旧・異なるメーカーの
生産設備のデータを可視化
一元管理したい。
拡張や変更もできて
誰でも簡単に使えるようにしたい。

混在する新旧多様な設備を連携し
既存システムともスムーズに統合
柔軟カスタマイズ&直感的操作
で現場への導入ストレスを軽減

IB-MES(ユニフェイス)
  • 小規模
  • 中規模
  • 大規模
  • 多数拠点
  • グローバル
システムの強み
  • 既存システムとのデータ連携が可能で、シームレスな運用を実現。IT導入補助金対象。
  • 低コストでスピーディな導入。誰もが使える直感的な操作性。
ベンダーの強み
  • 手作業・自働・加工工程などの多様な生産ライン、幅広いメーカー・古い機械のデータ収集が可能。
  • 柔軟なカスタマイズが可能。製造業界・ハードウェアにも精通。
知名度

MESだけでなく、基幹システムや
制御システムも含め、工場全体を
DX化・管理したい。
大規模な予算をかけるので
知名度の高い会社に頼みたい。

製造の制御システムに長けた
100年超の老舗
国内外に知られる横河電機
工場DXの幅広いソリューションを提供

YOKOGAWA-MES
ソリューション(横河ソリューションサービス)
  • 小規模
  • 中規模
  • 大規模
  • 多数拠点
  • グローバル
システムの強み
  • 原料の入庫、製造、梱包、出荷まで工場全体の最適化をサポートする設計思想。
  • ERP~MES~制御までを統合した企業システムとして構築。
ベンダーの強み
  • Operation Technology(OT)デバイスとその制御システムを長く展開、モノづくりを知る大手企業。
  • ハードからソフト、AIソリューションを一体で提供。
グローバル

複数の海外拠点の状況を
リアルタイムに把握したい。
グローバルで製造現場オペレーションの標準化・品質の均一化を
早期に実現したい。

グローバル規約に対応
迅速なテンプレート設計と
現地の税制・商習慣・多言語への対応で
グローバル企業支援実績が豊富

SAP製造実行システム(富士通)
  • 小規模
  • 中規模
  • 大規模
  • 多数拠点
  • グローバル
システムの強み
  • マルチリンガル機能、ASEAN現地税制や商習慣へ標準対応
  • クラウドタイプもあり。迅速・柔軟なテンプレート設計でグローバル展開が容易にできる。
ベンダーの強み
  • 本製品・COLMINA MESを含め、グローバル展開を行うものづくり企業向けに開発
  • 富士通のグローバルネットワークを駆使したサポート体制を用意。

※本サイトでは、2023年6月10日時点でGoogleにて「MESシステム」「製造実行システム」で検索した際、上位100位までに製品、またはベンダーの公式サイトが表示され、どんなシステムかがわかる情報が記載されている29製品を紹介しています。その中から、より自社に合った導入ができるよう、パッケージ、カスタマイズ、スクラッチ、どの方法にも対応している「製品」を公式サイトの記載を参考に抽出(3製品のみ)。それぞれの課題や要望に合致する機能や支援内容を実現できるシステムを公式サイトやパンフレットの記載内容をもとに紹介しています。

<ニーズ分けの理由>
「IB-Mes」…スモールスタートからの拡張、カスタマイズ、変更対応に強み。製造業に精通したエンジニア集団が柔軟に対応。
「YOKOKAWA-MESソリューション」…制御システム分野等において製造業界では名実ともに国内外に広く知られている大手グループが開発。
「SAP製造実行実行システム」…グローバル向けの機能や対応、海外サポート拠点などが充実。

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